異常が日常化した2021年8月の購読書メモ

書籍


ポストコロナの「日本改造計画」』 に取り組み、 あるべき『貧困・介護・育児の政治 』を取り戻し、『安いニッポン』 と 『「日本型格差社会」からの脱却』を図り、 『隷属なき道』 を歩み、 『強くて優しい国』 を創造する21世紀となしうるか。
 そのために必要なのは、「AIとの競争に勝つ ベーシックインカム 」か「 ベーシックアセットの福祉国家 」か「 デジタル資本主義で強者となるビジョン」か。


そこですべてに問われるべきは、日本の政治の在り方。
常時開催態勢にあるべき国会は閉じたたまに行うという自民党役員改選と内閣改造。
ここに来ても、政治を保身の道具、利権保持のための装置としか見ずに弄ぶ、政権政党とその内閣。
果たして、長く厳しいコロナの経験を踏まえ、日本の政治家・政党の意識を覚醒させる審判を国民が下すことができるか。
衆議院議員任期満了に基づく選挙を翌月に(翌々月もありうるが)控える9月を迎えました。


長引くコロナ禍、多くの疑念と反対があったにも拘らず7月23日に開会し、今月8月8日に閉会した東京オリンピック。
そして今月8月24日に開会し、今月9月5日に閉会する東京パラリンピンク。
その間、日本列島に長く居座った大気の川がもたらした異常な集中豪雨と被害。
デルタ株の爆発的な感染により発令され、延長も繰り返される第4次緊急事態宣言。

多くの異常が輻輳し、それが常態、日常になってしまった8月が過ぎました。

その異常日常性は、当Webサイトと関係するWebサイト(http://basicpension.jp)の記事投稿にも及び、怠惰を日常化してしまう可能性さえももたらしたのです。(と、言い訳)
しかし、その中でもかろうじて、特に8月下旬に、読むべき書になんとか隙間時間と気持ちを傾けることはできました。

先月8月に斜め読みしたのが、以下の6冊。
そのタイトルと一部のサブタイトルをつなげたのが、冒頭の短文です。
内、1と2の2冊は、中古書です。


1. 『隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働』(リトガー・ブレグマン氏著、野中香方子氏訳:文春e-book・2017/5/25 刊)
2. 『ポストコロナの「日本改造計画」 デジタル資本主義で強者となるビジョン』(竹中平蔵氏著:PHP新書・ 2020/8/11 刊)
3.『安いニッポン 「価格」が示す停滞』(中藤玲氏著:日経プレミアシリーズ・ 2021/3/8 刊)


4.『貧困・介護・育児の政治 ベーシックアセットの福祉国家へ』(宮本太郎氏著:朝日選書・2021/4/25 刊)
5.『強くて優しい国』(稲田朋美氏著:幻冬舎・2021/7/15刊)
6.『「日本型格差社会」からの脱却』(岩田規久男氏著:光文社新書・ 2021/7/30 刊)

以下に、各書について、少しのコメントを。

安いニッポン「価格」が示す停滞』(中藤玲氏著・2021/3/8 刊)


これは、日経に連載された「安いニッポン」特集の1回目を集めて編集したもの。
その後、2回目のシリーズも終えています。
もう10年以上前になりますが、60歳前半に北米を旅行する機会があったときが、最も円高だった頃だったでしょうか。
円高の効用をしっかり体験できた、非常に良い時期だったことを思い出します。
インバウンド消費に沸き立った日々に感じた、海外からの中流化した普通の観光客の大挙しての訪問と爆買行動のパワー。
それに比しての、日本人の暮らし向きの長きにわたっての停滞、可処分所得の減少、そして中間層の消失、格差拡大。
円安誘導を歓迎する経済界であっても、それを良しとする政治であっても、日常生活にはむしろマイナスに作用している現実。
ハリボテの日本経済ではいけませんが、信任される日本の社会と経済を創り直す営みが、この10年、20年に必要と感じています。
本書及び日経特集の「安いニッポン」をテーマに、いずれ取り上げたいと思っています。


強くて優しい国』(稲田朋美氏著・2021/7/15刊)


 ここ数年新聞広告で目立つ右派の雑誌広告。
 最近その中で、例の元防衛相稲田朋美氏が、左翼に転向したと名指しで批判されていることに少しばかりの関心が。
 彼女が新刊を出したということで、新書以外は新刊価格で買わないという方針を曲げて手にしたのが本書。
 もちろん、どの程度の転向か、ありえぬことと思いつつ。
 いわゆる「ジェンダー問題」とされる領域での政策について、右左関係なくこれから政策化されるべき課題、例えば、夫婦別姓問題や母子世帯問題、LGBTQ政策について、女性として真剣に考えた結果での提案を、一応ウリにした書。
 しかし、内実は、さすが元防衛相であり、保守自民です。
 自己アピールと強い日本の主張に多くの紙面を割き、社会保障等の政策は、お粗末そのもの。
 想像したレベルの内容で、やはり定価はもったいなかった。
 でも、気になっていて、既に読み終えているもう1冊
・『女たちのポリティクス 台頭する世界の女性政治家たち』(ブレイディみかこ氏著:幻冬舎新書・2021/5/25刊)
でも取り上げられているので、いずれ同書と共に、本書も紹介する予定です。

ポストコロナの「日本改造計画」 デジタル資本主義で強者となるビジョン』(竹中平蔵氏著・2020/8/11 刊)


 関係するWebサイト、ベーシックインカム専門サイト http://basicpensin.jp で投稿した竹中BI論批判。

 きっかけは以下の3記事。
 竹中平蔵の暴論はシカトすべき!:週刊ポストの小学館マネーポストWEB、ベーシックインカム記事を追う-1(2021/1/14)
宮内義彦氏の話を耳をかっぽじって聞け、竹中平蔵:週刊ポストの小学館マネーポストWEB、ベーシックインカム記事を追う-2(2021/1/15)
日本ベーシックインカム学会の竹中暴論及び諸説へのスタンス:週刊ポストの小学館マネーポストWEB、ベーシックインカム記事を追う-3 (2021/1/16)

 少し間をおいての記事
ベーシックインカムを突き詰めて考えたことはない竹中平蔵氏 (2021/8/17)
 これから、本書そのものを題材として、昨日
『ポストコロナの「日本改造計画」』における竹中平蔵氏のベーシックインカム論(2021/8/31)
を投稿したところです。
 それぞれをチェック頂ければありがたいです。

「日本型格差社会」からの脱却』(岩田規久男氏著・2021/7/30 刊)


 こちらの書は、先月8月下旬集中的に、当サイトと http://basicpension.jp 両方で、以下の記事で取り上げました。

岩田規久男氏による「21世紀の日本経済の課題」:当サイト2050年長期社会経済政策比較(2021/8/26)
岩田規久男氏提案「21世紀の日本経済の課題」評価:『「日本型格差社会」からの脱却』からー2(2021/8/27)

岩田規久男氏による「給付付き税額控除制度」提案とベーシックインカム批判(2021/8/28)
岩田規久男氏による財政破綻不安不要論:『「日本型格差社会」からの脱却』からー4 (2021/8/29)

 同様、チェック頂ければ幸いです。

貧困・介護・育児の政治 ベーシックアセットの福祉国家へ』(宮本太郎氏著・2021/4/25 刊)


 こちらは、タイトルが非常に興味深いものでしたので、やはり、新刊定価購入は新書のみという不文律?を破り、購入したものです。
 社会保障政策問題とベーシックインカムに替わる概念、ベーシックアセットを結び付けた視点での書。
 ベーシックアセットからイメージしたのが、私は批判しているベーシックサービス。
 その3つの違いを論じながら、「行政」ではなく「政治」として論じていることに、常日頃、「政治が変わらなければ」何も変わらないと考える私にとっては、一層興味深く読み進めることになりました。

 その結果は?
 今月、本サイトと、ベーシック・ペンション専門サイト、両方でシリーズ化して取り上げ、論じていく予定です。

隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働』(リトガー・ブレグマン氏著・2017/5/25 刊)


 こちらもベーシックインカムを考える上で必読書の1冊に加えるべきだったのですが・・・。
 ハードカバーで定価で購入するとそれなりの価格。
 偶然、中古書でお値頃価格で先月に入手でき、かなりのインパクトを受け、どのようにこれから扱うべきか、今も悩んでいます。
 中途半端に紹介したくないし、当然対比させて私自身の意見・考えをすり合わせて記述していきたい。
 今月から長いシリーズとして、http://basicpension.jp で展開していきます。


 

という具合に、なんとか整理してみました。
9月。
心新たに取り組んでいきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

因みに、今月9月の読み初めの1冊目は
自壊する官邸 「一強」の落とし穴』(朝日新聞取材班編著:朝日新書・ 2021/7/30 刊) です。

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