経済政策 2050年長期ビジョン及び短中長期重点戦略課題

経済・経営・労働政策

「2050年国家ビジョンと長期政治行政改革計画」-6

2019年に端を発し、2020年、2021年とグローバルレベルで多大な影響を及ぼしている新型コロナパンデミック。
 その経験を踏まえて、短期10年2030年、中期20年20340年、長期30年2050年という10年スパンで、安心・安全な日本国家と国民の安心・安全な暮らしを保障する社会創りのための長期ビジョンと戦略的重点政策体系をとりまとめ、その実現を図る遠大な取り組み計画を提案します。

名付けて
「2050年国家ビジョンと長期政治行政改革計画」 シリーズ

 これまでに、以下の5記事を投稿しました。

異常な祭りの後に正常なまつりごとを:2021年起点に構築する2050年国家ビジョンと長期政治行政改革計画1ー2021年衆院選各党公約注視から(2021/7/21)
当サイト2050society.com の2021年下期カテゴリー変更:コロナ禍で構築すべき国家ビジョンと長期政治行政改革計画-2(2021/7/26)
国土・資源政策、社会政策、経済政策、国政政策4区分での長期ビジョン重点戦略試案 (2021/7/27)
国土・資源政策 2050年長期ビジョン及び短中長期重点戦略課題 (2021/8/1)
社会政策 2050年長期ビジョン及び短中長期重点戦略課題(2021/8/3)


今回は、「国土・資源政策」「社会政策」に続き、「経済政策」 の具体的政策重点課題を検討・提示します。

Ⅲ 経済政策 長期ビジョン及び短中長期重点戦略課題

<長期ビジョン>

 行き過ぎた資本主義の弊害、それと関連するグローバル経済がもたらす地球温暖化・環境破壊問題などへの抜本的な取り組みを必須課題とし、それと並行して進める望ましい経済活動のモデルを、経済の安全保障の観点から国内経済で確立することを所期の目標とし、そのモデルのグローバル社会への移転・移管と支援に結びつけることを併せて目標とする。

<短中長期・政治行政重点政策課題>

1.自給自足経済政策

(基本方針)
 コロナパンデミックで経験した物流・人流の停止等の経験、また国家間の力学的な問題等から想定すべき、経済の安全保障ニーズに基づき、まずその基本である国内で還流・循環する自給自足経済の確立を目指し、確実に実現します。

(個別重点政策)
1-1 食料自給自足経済確立「国土・資源政策」 3.食料自給自足による安全保障・維持・開発管理 と連携
1)第6次産業化含む包括的総合的食料(飲料含む)国内自給方針及び中長期目標策定、ベーシック・ペンション導入時利用構成比率シミュレーション及び対策
2)品種・品目別原材料依存率・国内対応率等実態調査及び方針策定
3)品種・品目別国内自給率目標設定と必要財政政策・計画立案
4)農業・畜産業・水産業自給自足産業構造構築(全国及び地域別、緊急時供給体制等含む)

1-2 生活基礎消費財自給自足経済化
1)業種別必要品種・品目調査分析(対外依存状況、国内対応状況等含む)
2)業種別必要品種・品目別国内自給方針及び中長期目標策定、ベーシック・ペンション導入時利用構成比率シミュレーション及び対策
3)地域別・地域間サプライチェーン整備、緊急時体制整備
4)緊急時海外供給体制整備

1-3 全産業分野基礎物品自給自足経済化(サプライチェーン構築)
1)緊急事態想定時全産業分野におけるリスク調査・分析(3年毎の見直し)
2)同調査・分析に基づく総合的短中長期対策立案(~2030年)、進捗・評価管理(~2031年)
3)同調査・分析に基づく産業別・品種品目別国内対策立案 (~2030年) 、進捗・評価管理 (~2031年)
4)「国土・資源政策」 6.産業資源自給自足基盤の拡充による安全保障・維持・開発管理 と連携

1-4 国土・資源政策、社会政策、国家政治政策関連政策課題との統整合
   ※各政策策定後調整・統合


2.雇用政策・労働政策

(基本方針)
 長期化するデフレ経済から脱却し、国民がより豊かな経済的基盤を確立し、安心・安全・自由な生き方、働き方ができるよう、自らの起業を含む労働と就労・雇用に関する制度と法律の改正・整備拡充を推進します。
 なお、当政策は、「社会政策」の軸とした<ベーシック・ペンション>の実現と連携した政策と位置づけていますが、<ベーシック・ペンション>の実現の有無に拘らず取り組むべき政策として設定するものです。

(個別重点政策)
2-1 非正規雇用法制改革、労働者派遣法制改正
1)非正規雇用の正規雇用転換制度の拡充
2)労働者派遣法改正:派遣職種の制約強化
3)同一労働内容職務同一賃金制整備拡充
4)非正規雇用者の各種労働条件の正規雇用者との平等化拡充

2-2 雇用保険制度の就労保険制度への転換・改定、解雇規制改定
1)雇用保険制度の就労保険制度への転換、全就労者の保険加入義務化
2)ベーシック・ペンション導入に伴う雇用保険改正
3)解雇規制の拡充強化、労働基準法関連条項改正
4)労働者災害補償保険法、その他労働法制改正

2-3 低賃金労働・違法労働対策:最低賃金法、エッセンシャルワーク賃金改善
1)最低賃金法改正
2)エッセンシャルワークの賃金制度改革支援及び推進
3)違法労働、ブラック企業等撲滅対策
4)中小企業人事労務改善支援

2-4 国土・資源政策、社会政策、国政政策関連政策課題との統整合
   ※各政策策定後調整・統合


3.経営・事業開発支援、労働生産性・付加価値創造支援政策


(基本方針)
 国民の安心・安全で自由な生き方・働き方や国政による種々の政治行政活動を可能にする経済活動は、種々の規律・規定のもと、健全な運営と管理により、必要なコストを負担し、適正な利潤を獲得することを目的とし、持続することが求められます。
 個人の起業・独立から、零細中小企業、大企業、グローバル企業、それぞれがめざすもの、その活動規模などに違いはありますが、国家と個人、そして企業等の資産・資本を形成する基盤としての経済活動を公正・公平に支援する社会経済基盤を整備拡充します。


(個別重点政策)
3-1 起業・創業・独立支援政策
1)起業・独立及び企業経営専門教育の中高等教育課程組み入れ
2)起業・創業・独立経営の税制等緩和、各種支援インフラ整備
3)採用・人材育成・経営管理等支援インフラの整備、運営管理(官民協同)
4)M&A 支援インフラの整備、運営管理( 官民協同)

3-2 中小零細企業生産性・付加価値向上支援
1)中小零細企業人事労務・経営管理・資本管理等支援インフラの整備、運営管理
2)中小零細企業労働生産性・付加価値向上支援
3)中小零細企業の事業規模拡大・海外進出支援インフラ拡充
4)資本強化・M&A等支援インフラの整備、運営管理( 官民協同)

3-3 グローバル企業支援
1)業種・品種別グローバル企業展開支援政策
2)地域別グローバル企業展開支援政策
3)既存海外資本国内進出企業政策
4)国内進出海外資本企業政策

3-4 国土・資源政策、社会政策、国政政策関連政策課題との統整合
   ※各政策策定後調整・統合


4.イノベーション支援、技術開発支援

(基本方針)
 DX、GX、ESG、 SDGsと、社会生活・職業・企業経営・社会経済と環境をめぐる技術開発、イノベーションニーズの加速化・拡大化が、グローバルレベルで進んでいます。
 その取り組みは、個々の企業努力だけでは差別化も競争力も持ち得ず、国策としての総合的かつ的確なターゲット設定による対策・政策が不可欠です。
 経済の安全保障にとどまらず、国民と国家社会のすべての活動と領域に影響を及ぼし、他のすべての政策と結びついているイノベーション、技術開発支援政策を、産官学の強力な連携に基づき推進します。
 

(個別重点政策)
4-1 イノベーション・技術開発中長期計画支援政策
1)産業別・技術領域別イノベーション・技術開発支援対象抽出設定及び支援計画策定
2)地域別イノベーション・技術開発プロジェクト制導入(地方自治体主管)
3)特許管理
4)人材育成、研究開発組織開発支援

4-2 DX、GX、ESG、SDGs総合政策
1)DX関連目標指標・重点支援事業領域設定 (~2025年) 、 進捗・評価管理 (2031年~)
2)GX関連目標指標・重点支援事業領域設定(~2025年) 、 進捗・評価管理 (2031年~)
3)ESG関連目標指標・重点支援事業領域設定(~2025年)、進捗・評価管理 (2031年~)
(2),3)参考)
脱炭素、グリーントランスフォーメーション(GX=緑転)4つの課題(2021/8/10)
4)SDGs関連目標指標・重点支援事業領域設定 (~2025年) 、 進捗・評価管理 (2031年~)

4-3 産官学プロジェクト政策
1)大学間技術開発ネットワーク化
2)地方自治体間開発ネットワーク化
3)経済界共同プロジェクトネットワーク化
4)産官学統合プロジェクトマネジメント

4-4 国土・資源政策、社会政策、国政政策関連政策課題との統整合
   ※各政策策定後調整・統合


5.成長・脱成長、緊縮・反緊縮多様性モデル対応政策

(基本方針)
 行き過ぎた資本主義や過剰な化石燃料エネルギー消費等を因とする貧困・格差の拡大や地球環境破壊、気候変動、大規模自然災害・厄災等。
 こうした状況の継続・拡大とその基盤としての社会経済の変貌は、新自由主義的あるいは独裁主義的政治論点による成長・脱成長、緊縮・反緊縮イデオロギー対立を煽っています。
 その多面的な社会経済状況を把握・分析し、 それぞれの利点を活かすことで、望ましい経済運営を可能とする経済政策の実行・実現に結び付けます。

(個別重点政策)
5-1 人口動態対応中長期経済成長モデル構想と短中長期対応計画
1)人口動態対応労働人口・労働力基本計画
2)職種・職能別・技術別必要労働力基本計画及び養成計画立案、支援
3)IT・AI活用業務領域予測及び推進計画に基づく職業・職種・雇用政策対応
4)人口動態対応地域別成長産業政策推進

5-2 緊縮・反緊縮、成長・脱成長経済モデル構想と短中長期対応計画
1)緊縮・反緊縮経済モデル構想化及びシミュレーションに基づく経済政策研究活用
2)成長・脱成長経済モデル構想化及びシミュレーションに基づく経済政策研究活用
3)業種別変化・転換予測等に基づく産業構造、経済政策変革研究開発
4)AI社会時社会経済環境予測と雇用・労働政策転換対応

5-3 ベーシックインカム(ベーシック・ペンション)導入シミュレーションと現実対応
1)多様機能ベーシック・ペンション導入経済政策モデル研究開発
2)ベーシックインカム(ベーシック・ペンション)段階的導入時経済動向シミュレーション及び対策モデル化
3)ベーシックインカム(ベーシック・ペンション)導入後社会経済行動調査分析及び活用
4) ベーシックインカム(ベーシック・ペンション)導入後社会経済モデル実現評価・分析

5-4 国土・資源政策、経済政策、国政政策関連政策課題との統整合
   ※各政策策定後調整・統合


6.グローバル経済政策

(基本方針)
 経済の安全保障は、国内自給自足経済の整備だけで完結するものでは当然ありません。
 グローバル社会における自国のポジションや存在意義を的確に自覚・確認し、自国の安全保障にとどまらず、グローバル社会経済においてのリーダーシップや協調・貢献をも実現すべく、長期ビジョンのもと取り組みます。

(個別重点政策)
6-1 経済安全保障政策
1)対外経済総合政策及び国別政策
2)輸出入管理政策
3)外国為替法管理政策
4)経済安全保障緊急時対策

6-2 グローバル経済収支政策
1)海外投融資政策
2)外為政策、外貨準備政策
3)国内経済・国外経済バランス政策
4)各種グローバル経済指標・情報収集分析・活用

6-3 グローバル金融・財政体制改革及び貢献方針
1)IMF改革提案
2)G7、G20等におけるプレゼンス強化とリーダーシップ発揮
3)各国中央銀行との協調等
4)グローバル通貨政策協調・開発等

6-4 国土・資源政策、経済政策、国政政策関連政策課題との統整合
  ※各政策策定後調整・統合

 以上、「経済政策」の重点政策課題を抽出・設定しました。
 しかし、このレベルでも具体性を欠く項目が多々あり、課題設定レベルとしては不十分と言えます。
 ここからより具体的な課題に深堀りするに当たっては、今後もちろん必要に応じて体系的に記事投稿していく場合もあります。
 しかし、どちらかというと、都度トピック的な題材を取り上げて検討・考察・提起していく方法を取ることが多くなると考えています。
 その場合には、当記事からの展開と分かるように、リンクを貼ることで体系化を補完していきたいと考えています。
 ご了承ください。 


 なお、本稿の内容は、まだ十分な検討を行わないまま公開しており、今後推敲を重ね、より適切なもの・内容に変更・修正を加えていきますので、ご了承ください。
 また皆さんからにご意見やご提案もお待ちしております。

 また、こうした取り組み・政策整理提言は、今秋の衆議院選挙及びそれ以降の日本の政治・行政改革の必要性を鑑み、各政党の掲げる政策・公約などと比較し、考察を継続するための情報として提起することを目的としていることを申し添えておきたいと思います。
 当視点からも、皆さんのご意見・助言などもお待ちしています。

 次回は、4区分の政策の最後<Ⅳ 国政政策>になります。

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